AIミステリー4/7話「燃え残りの言葉」

AIに気ままに書かせてみた

登場人物

  • 朝倉澪(あさくら・みお)……フリーライター。語り手。
  • 久世真司(くぜ・しんじ)……元編集者。霧ヶ峰の旧天文台「星影館」の管理人。
  • 鳴海紗季(なるみ・さき)……装画家。寡黙で、白い指先をしている。
  • 樋口朔(ひぐち・さく)……中学校教師。几帳面で、声が低い。
  • 片桐遼(かたぎり・りょう)……時計修復師。油の匂いをまとっている。
  • 三枝冬馬(さいぐさ・とうま)……映像作家。笑い方が軽い。
  • 柚木千鶴(ゆのき・ちづる)……古書店主。静かな観察眼を持つ。

通報はした。だが山の上の雪は、下から来る車を遅らせる。夜明けまでは私たちだけでいるしかなかった。久世の遺体に白いシーツを掛け、観測室の扉を閉めたあと、談話室に戻った六人は、さっきまでと同じ椅子に座っているのに、もう別の顔をしていた。

沈黙を破ったのは柚木だった。 「十二年前のこと、ここで話しておいたほうがいいでしょう」

火事の夜。私たちは若かった。冬の合宿で書いていた連作ミステリーの原稿が、資料室ごと燃えた。公式には漏電だった。だが、本当は違う。資料室では、私たちの作品を盗もうとしていた大人がいた。誰が火をつけ、誰が何を見て、誰が黙ったのか――その中心だけが、ずっと曖昧なまま残っていた。

「久世さんは、あのあと原稿を持ち出した」 冬馬が言った。 「焼け残りをつないで、本にした。売れた。俺たちは黙った」

「黙らされた、の間違いでしょ」 鳴海の声は細かったが、鋭かった。

片桐は暖炉の前で立ったまま、火箸を見ていた。 「今さら責任の分配か」

私は観測室で拾った真鍮のねじをテーブルに置いた。片桐の目がそれに吸い寄せられた。すぐに逸れたが、その一瞬で充分だった。

「これ、柱時計の裏板のねじに似てる」

片桐が苦く笑った。 「古い時計なんて、ねじはだいたい同じだ」

その言い方の自然さが、むしろ不自然だった。見ただけでそう言えるのは、普段から触れている人間だけだ。

さらに私は、観測室の床から薄く機械油の匂いがしたことを話した。灯油とは違う、乾いた匂い。片桐の指先にいつもまとわりついているそれと、よく似ていた。すると樋口が顔を上げた。

「火事の夜も、その匂いがした」

誰かが息を止めた。

「やめて」 鳴海が言った。「あの夜のことを、そんなふうに……」

彼女の指先は震えていた。私はそこでようやく理解した。彼女は、火そのものを怖れているのではない。火の前に起きた何かを、誰よりも怖れているのだ。

そのとき、二階の廊下で風が鳴った。誰もいないはずの暗い階上から、紙のめくれる音がした気がして、全員が同時に見上げた。

久世が読もうとしていた第七話は、まだ開かれていない。

けれど真実は、紙の中にだけあるとは限らなかった。

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