AIラブストーリー『東京、再生ボタンの恋』6/7話 「東京タワーは全部知っている」

AIに気ままに書かせてみた

登場人物

  • 瀬尾真琴……神保町の出版社で働く39歳。きちんとして見えるのに、昔のレシートや映画の半券を捨てられない。
  • 藤代遼……下北沢で中古レコード店を営む40歳。無口なくせに、音楽の話になると急に少年みたいな目をする。
  • 篠原紗英……真琴の高校時代からの親友で、代々木上原在住のWebデザイナー、39歳。さっぱりしていて、弱っている時ほど人にやさしい。
  • 橘航平……三軒茶屋で小さなバーをやっている41歳。誰かの話を否定せずに聞ける、貴重な大人。
  • 水沢菜月……中目黒を拠点に活動するフォトグラファー38歳。自由そうに見えて、いちばん昔に縛られている。
  • 佐伯柊司……真琴の上司で編集長、42歳。静かな人だが、静かな人ほど大事な場面で強い。

六月、公開前夜。
六人は最終調整のため、航平の店に集まっていた。

Webは紗英が仕上げ、小冊子の色校は柊司が確認し、菜月の写真には街の湿度まで写っていた。遼が整えた音源は、イヤホンで聴くとまるで東京の裏側に落ちていくみたいで、真琴が書いた文章は、そのすべての「あいだ」を埋める役目を果たしていた。

タイトルは最終的に、**『東京、再生ボタンの恋。』**になった。
紗英が「ダサい一歩手前で止めた感じがちょうどいい」と評し、全員がそれを採用した。

打ち上げを兼ねて店を閉めたあと、六人はそのまま歩いて、夜の東京タワーが見える芝公園まで移動した。
東京タワー。
スカイツリーができてからは少し古い象徴になったけれど、1980年代生まれにとっては、こっちのほうがずっと“東京の恋”に似合う気がする。

ベンチに座り、コンビニで買った缶ビールを開ける。
夜風はぬるく、街の音は遠い。
誰かが「東京タワーって、なんでこんなに失恋が似合うんだろう」と言って、みんな笑った。

そのあと、菜月が黙って一枚のDVテープを差し出した。
「最後の最後で出てきた。たぶん未確認」

近くの航平の店に戻り、モニターにつなぐ。
ざらついた画面に映ったのは、大学の屋上。夕暮れ。若い六人。
笑いながらカメラを回していた映像の終盤、突然、ほかのメンバーが買い出しに行って、遼だけが画面に残った。

若い遼は、カメラを近づけ、照れたように笑って言った。

『これ、もし残ってたら嫌なんだけど』 少し間を置く。 『俺、たぶん真琴のこと好きなんだよな』 画面の向こうで誰かが呼ぶ声がする。
それでも遼は続けた。 『東京にいる限り、たぶん何回でも会いたくなる。たぶん十年後も、二十年後も』

店の中が静まり返った。

真琴は、心臓の鼓動が自分のものじゃないみたいに感じた。
昔の遼が、自分の知らないところで、こんなふうに気持ちを残していた。
届かなかったんじゃない。
残っていたのに、自分が知らなかっただけだ。

「ごめん、外、行ってくる」 そう言って店を飛び出した真琴を、誰も止めなかった。

三軒茶屋の夜道は、雨上がりで少し光っていた。
しばらく歩いたところで、背後から足音が追ってくる。
振り返らなくてもわかった。

「真琴」 遼の声は、昔より少し低くて、少しだけ息が上がっていた。

「なんで今さら、あんなの」 「俺も忘れてた」 「忘れる?」 「忘れたふりしてた、が近いかも」

真琴は立ち止まり、ようやく振り返る。
街灯の下で、遼は困った顔をしていた。
四十歳の男があんな顔をするのは反則だ、と真琴は思う。

「私、パリ、行くかもしれない」 「うん」 「行きたい気持ちもある」 「うん」 「でも逃げたいだけかもしれない」 「それでもいいんじゃない」 「よくない」 「じゃあ、何がよくないんだよ」

その問いに、真琴はやっと追いつく。
自分が怖かったのは、東京を離れることじゃない。
東京に残って、本音のまま誰かを好きになることだった。

「遼」 「うん」 「私も、今のあなたが好き」

言った瞬間、胸の奥で何かがほどける音がした。
遅い。
恥ずかしい。
面倒くさい。
でも大人の恋って、たぶんそういうものだ。

遼はしばらく目を閉じ、それから笑った。
「やっと聞けた」

「ただし」 真琴はすぐ続ける。 「昔の続きじゃなくて、今から」 「知ってる」 「あと、うまくいく保証とかない」 「それも知ってる」 「それでも?」 「それでも」

その言葉のあと、二人はようやく抱きしめ合った。
ドラマみたいに完璧な角度でも、映画みたいにきれいな雨でもなかった。
でも、シャツに残る湿気や、肩越しに見えるコンビニの看板まで含めて、それは確かに東京の恋だった。

少し離れたところで、スマホの通知が震える。
紗英から一言だけ、
“ちゃんと選べた?”
と来ていた。

真琴は笑って、
“うん”
と返した。

東京タワーは見えなかったけれど、
きっとああいう夜のことを、あの塔は昔から全部知っている。

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