AIコメディドラマ『東京エモーショナル非常階段』1/7話 「屋上でMDが見つかる東京は、だいたい何かが始まる」

AIに気ままに書かせてみた

登場人物

  • 相馬圭介(そうま けいすけ)……39歳、元・広告代理店勤務、現在はフリーの企画屋。口は達者だが詰めが甘い。渋谷系の残り香みたいな服をまだ着る。とっさに「それ、企画になります」と言ってしまう癖がある。
  • 水原奈央(みずはら なお)……38歳、杉並区役所・文化振興課勤務。現実的でしっかり者。だが家にはまだプリクラ帳と、デコりすぎたガラケーの充電器がある。感情は表に出さないが、実はかなり情に厚い。
  • 堂本健太郎(どうもと けんたろう)……41歳、中野で小さな修理店を営む職人。MD、VHS、ラジカセ、ブラウン管テレビを蘇らせることに異常な情熱を燃やす。人付き合いは不器用だが、壊れたものには優しい。
  • 早乙女真希(さおとめ まき)……37歳、深夜ラジオの構成作家。元インディーズバンドのボーカル。テンションと語彙が不安定で、話の途中で急に昔の着メロやバンド名の話を始める。mixi時代の黒歴史を大量に抱えている。
  • 三上遼平(みかみ りょうへい)……40歳、東京を流すタクシードライバー。昔はバックダンサー志望だった。妙に身のこなしがいい。メール文面はいまだに半角カナ気味。都内の抜け道と、深夜2時のファミレス事情に詳しい。

中野と高円寺のあいだには、地図には載っていても心には載っていないような古い雑居ビルがある。
その名は三鈴文化会館。一階に修理店、二階に小さな編集事務所、三階に空きテナント、屋上に謎の物置。昭和が伸びをしたまま平成に居座り、令和に入ってから急に肩身が狭くなったような建物だった。

ある蒸し暑い六月の夕方、圭介はそのビルの階段で、人生で三回目くらいの「もう少し堅実に生きようかな」を考えていた。企画コンペに落ちた帰りだった。紙袋にはサンプルとして持ち歩いていた8cmCD、なぜかポケベル型メモ帳、そして誰にも頼まれていない企画書が入っていた。
「今どき“平成ノスタルジーで町おこし”はベタすぎますね」
昼にクライアントから言われたその一言が、冷めた焼きそばみたいに胃に残っていた。

そのとき、ビルの大家・鶴岡雪江が言った。
「来月、このビル売るかもしれないの」
言い方が軽かったので、圭介は最初、アイスを箱買いするくらいの話かと思った。しかし雪江は本気だった。配管は古いし、空きテナントは埋まらないし、このままでは維持できない。
そこへ通りかかったのが奈央だった。区の文化助成の書類を届けに来たついでだったが、「売る」という単語に職業柄反応した。さらに一階から健太郎が顔を出し、三階の編集事務所から真希が飛び出し、表に客を降ろしたばかりの遼平までなぜか階段を上がってきた。東京では、無関係の五人が同じ場所に集まるとき、大抵ろくなことが起きない。

「じゃあ、イベントやりましょう」
圭介は反射で言った。
「また始まった」と真希が笑い、奈央は「許可申請の大変さを一ミリも知らない目をしてる」と呆れ、健太郎は「電源容量が足りない」と現実を言い、遼平だけが「なんか文化祭っぽくていいね」と乗った。

屋上の物置を開けると、埃のなかに古いコンポ、ラジカセ、VHSテープ、使い道のない延長コード、そして一枚のMDがあった。マジックでこう書いてある。
『2001年 夏 未来へ』

「うわ、来た。そういうの来た」
真希が顔だけでテンションを三段階上げた。
「絶対、青春が保存されてるやつじゃん」
「いや、ただのラジオ録音かもしれないだろ」健太郎が言う。
「その“ただのラジオ録音”が一番刺さる世代なんだよ、私たちには」と遼平が妙に深くうなずいた。

だがMDは再生できなかった。プレーヤーが死んでいた。
健太郎がそれを手に取り、壊れた機械を見るとき特有の、少し優しい顔になった。
「直せるかもしれない」
「じゃあ、直ったら中身を聞いて、イベントのテーマを決める?」と圭介。
「そんな雑な運命の預け方ある?」と奈央。
「でも東京って、だいたいそういう雑な運命で回ってるじゃん」と真希。

その夜、五人は近所のジョナサンに移動し、ドリンクバーで色の薄いメロンソーダを注ぎながら、ほんとうにイベントをやるのかという話をした。
圭介は「どうせなら屋上で、昔の東京を持ち寄る展示みたいなのを」と言い、真希は「タイトルは“エモ”って言葉を使わないほうが逆にエモい」と言い、奈央は「消防法だけはなめないで」と言い、遼平は「タクシーの後部座席に忘れ物として集まった平成遺産なら出せる」と言い、健太郎は黙ってMDプレーヤーを分解しはじめていた。

何かを始めるには、たいした理由なんていらない。
閉まりかけたビルの屋上で、再生できないMDが見つかった。
それだけで、1980年代生まれの大人たちには十分だった。
青春はとうに終わっているのに、開始音だけはまだ鳴る。そんな東京の夜だった。

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