AIコメディドラマ『東京エモーショナル非常階段』4/7話 「mixiの黒歴史は、鍵をかけても時々出てくる」

AIに気ままに書かせてみた

登場人物

  • 相馬圭介(そうま けいすけ)……39歳、元・広告代理店勤務、現在はフリーの企画屋。口は達者だが詰めが甘い。渋谷系の残り香みたいな服をまだ着る。とっさに「それ、企画になります」と言ってしまう癖がある。
  • 水原奈央(みずはら なお)……38歳、杉並区役所・文化振興課勤務。現実的でしっかり者。だが家にはまだプリクラ帳と、デコりすぎたガラケーの充電器がある。感情は表に出さないが、実はかなり情に厚い。
  • 堂本健太郎(どうもと けんたろう)……41歳、中野で小さな修理店を営む職人。MD、VHS、ラジカセ、ブラウン管テレビを蘇らせることに異常な情熱を燃やす。人付き合いは不器用だが、壊れたものには優しい。
  • 早乙女真希(さおとめ まき)……37歳、深夜ラジオの構成作家。元インディーズバンドのボーカル。テンションと語彙が不安定で、話の途中で急に昔の着メロやバンド名の話を始める。mixi時代の黒歴史を大量に抱えている。
  • 三上遼平(みかみ りょうへい)……40歳、東京を流すタクシードライバー。昔はバックダンサー志望だった。妙に身のこなしがいい。メール文面はいまだに半角カナ気味。都内の抜け道と、深夜2時のファミレス事情に詳しい。

イベントの告知は、驚くほど好評だった。
「このプリクラ、平成の湿度がすごい」
「ジョナサン集合の匂いがする」
「昔の自分の前髪を思い出して胸が苦しい」
そんな反応がSNSに流れ、三鈴文化会館には少しずつ人の気配が戻ってきた。
ところが、東京で物事がうまく進み始めると、たいてい別の場所で何かがこぼれる。

火種は真希だった。
彼女の昔のmixi日記が、どこからか発掘されてしまったのだ。

「終わった」
三階の編集事務所で、真希はスマホを見たままソファに崩れた。
「何があったの」
奈央が覗き込むと、そこには十数年前の真希の文章のスクリーンショットがあった。
タイトルは**『渋谷の男はだいたい話を盛る』**。
本文には、当時のバンドマン、カフェ店員、映像クリエイター志望、DJ、読モ、すべてに対する切れ味の鋭すぎる観察が並んでいた。
しかも無駄に文章がうまい。
「最悪だ、語彙がある時期の私だ」
真希は頭を抱えた。

圭介は少しだけ傷ついた顔をした。
「“トートバッグを持ち始めた男は急に思想を語る”って、当時の俺じゃん」
「ごめん、それは本当に当時の君だと思う」
「否定してくれよ!」

問題は笑い話で済まなかった。
イベント協力を検討していた地元商店会の一人が、その投稿を見て「面倒な人たちの催しじゃないか」と警戒し始めたのだ。
奈央はこめかみを押さえた。
「だからネットは消えないって言ったのに」
「いや、mixiはだいぶ消える側だと思ってたんだよ!」
真希の叫びは切実だった。

その夜、五人はまたジョナサンに集まった。ドリンクバーのウーロン茶がやけに薄かった。
「いっそ正面突破しよう」
最初にそう言ったのは、意外にも健太郎だった。
みんなが見ると、彼はストローの袋を丁寧に丸めながら続けた。
「昔、痛かったことを隠すから痛いんだろ。展示にすればいい」
「何を?」
「黒歴史」
真希が顔を上げた。
圭介がゆっくり笑い始める。
「いいじゃん。“黒歴史供養コーナー”」
遼平も乗った。
「昔のハンドルネーム書いて箱に入れるやつやろう。俺、“Ryo-hei☆Night”だった」
「もう供養じゃなくて公開処刑だよ」と奈央が言いながら、でも少し笑っていた。

企画は一気にふくらんだ。
昔のプロフィール帳、デコメ、誰にも見せられない自作ポエム、着うたフルに全力だった頃の携帯、前略プロフィール的なノリの自己紹介文、意味もなく斜めに撮った自撮り。
「あの頃の自分、わりと必死だったな展」
真希はタイトルを書きながら、「これ、たぶん今の若い子にも刺さる。形が違うだけで、みんな何かしらの黒歴史をネットに置いてきてる」と言った。

そして当日用の紹介文を、彼女は自分で書いた。
《人は誰でも、ちょっと痛くて、でもそのぶん真剣だった時代を持っている。あの頃の過剰さを笑いながら、今の自分を許すための小部屋です。》
読んだ奈央が、珍しく素直に言った。
「真希、それいい文章」
「でしょ。だから語彙がある時期の私は危険なんだって」

問題のmixi流出は、結果としてイベントの名物企画を生んだ。
商店会のおじさんも「自分も昔、ホームページビルダーで店のページを作って点滅文字を多用した」と白状し、協力してくれることになった。
東京の大人は、完璧な人より、少しダサい時代を通ってきた人のほうを信用する。
その夜、真希は一人で屋上に上がり、風に吹かれながらつぶやいた。
「黒歴史って、要するに生きてた証拠なんだよな」
下から聞こえてくるのは、健太郎がVHSデッキを叩く音と、圭介が誰かに企画を大げさに説明する声。
東京はうるさい。
でも、そのうるささのなかに自分の過去が混ざっても、もう前ほど恥ずかしくはなかった。

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